千桃 途中感想など

先週、半年前ぐらいからずーっと楽しみにしてたオーガストの新作、千のはとうつきそめのこうきってゲームを買ってやってたんですけどね。

まだおそらく半分ぐらいしかやってないんですけど、正直あまり面白くないです…。前2作品が素晴らしかったので今回もここなら間違いない、と思ってのことでしたが、やはりそう上手くはいかないものですね。

世間ではユースティアの評価がものすごく高くて、大図書館の評価はまあまあ高いみたいな感じだったと思うんですけど、俺は大図書館も大好きだったんですよ。普通の安定した学園ものって思われがちですけど、そうじゃなくてなんか違ったんですよ。以前そのなんか違う素晴らしさについてはいろいろ書いたことがある気がするんですけど、とにかく、以前の評価にとらわれず新たに変革していくっていうオーガストの姿勢が感じられてかつ面白かったので、気づいたら信者になっていました。

今回もおそらくいろいろ考えての新たな作品を作ろうとしてくれたんだとは思います。実際世界観は今までにないもので、ユースティアと学園モノを混ぜたっていう感じは確かにしますが、十分に魅力的だとは思います。がそもそも世界観云々はそんなに重要ではなくて、話の中でどういう展開を見せるか、世界観を生かしてどうこれまでの成功に甘んじずに新たな面白さを見せるか、みたいなことが重要である、みたいなことを大図書館のときに書いた気がしますし、今でもそう思っています。

とりあえず、序盤~中盤にかけては、心からワクワクする展開はありませんでした。なんででしょうか。やはり主人公が自我をもってはいるものの、どこか定まらない、そういう設定ではあるんで仕方がないかもしれないですが、確固たる主体性をもっていないせいでふわふわした感じになって魅力的に写らないからかなーとも思っています。ユースティアなんかも、主体性をもっていない主人公で、こっちの作品もこれが物語のきもになるわけですが、でも圧倒的な強さと一応強がっていたものであっても一貫した意志はもっていて、魅力的に感じましたからね。

話としてはわかります、わかるんです、特に矛盾もなく丁寧に作られていてああ、なるほどなーって思うことも、いつものように人生の教訓的な内容も節々に出てきて、さすがに作りこんであるなーとは感じるんですが、いかんせん盛り上がりにかけるとしか言いようがない。

しかしまだ中盤ではあると思うので、まだ盛り上がることを一応期待しています。やっぱ主人公があな…。

 

最近はエロゲとは別に、SF小説とか海外の小説、ハヤカワ文庫とかから出ているやつを読んでいるんだけど、なかなかいい。読んでいる自分に酔うことができる。物語は本ではエロゲより劣る、という考えがあって今でも同じなんだけど、文章を味わう、という意味では純粋に本のほうが楽しめる気がする。今読んでるやつは物語も楽しいんだけど、どっちかというと物語を楽しむというより、文章の文体・リズムを楽しんでいる感じがしていて、小説派の人ってけっこうそんな感じで文章を楽しんでいる人が多いんじゃないかと思った。

あと今まで物事を考えるには、小説よりノンフィクションっていう考えはあったけど、結局ノンフィクションを読んでも字面を追っているだけで、自分で考えたとしてもなんというかあくまで著者の文脈にのっとってしか考えられない(たとえ著者とは異なる意見だったとしても)ような気がしてしまって、その分小説は自分の没入間がすごいので、わがごとで考えるという意味では小説・フィクションのほうが効用が高いのではないかと感じた。

うまく説明できないし直観的だけど、こういう没入したときに生まれる考えみたいなものしか結局自分のものにしかならないから、実際役に立つのはフィクション読んで考えたことなんじゃないか。

なんか以前よんだ有名なブロガーで最も効果のある読書方法みたいな記事に同じようなことが書いてあった気がして、今さら実感している。自分の血肉にする方法・血が噴き出すような読書、だったかな。もちろんノンフィクションでもそういう読み方ができればいいんだけど、小難しい分なかなか理解に追われて没入間は小説より劣ってしまうことが多い。